秩父の妙見菩薩は女性?
秩父神社の妙見様は女の神様と言われています。旧武蔵国秩父郡や隣接する地区では、長女が○○神社、次女が秩父神社、三女が△△神社であるなどの三姉妹伝承があります。
童子形の妙見菩薩で他に女性とする所は、聞いたことはありません。
秩父神社のお姿と他の童子形妙見菩薩
童子形妙見菩薩の中世以降のほぼ共通した特徴
・亀に乗る
・髪の毛が長い
・甲冑を着て剣を持つ
秩父神社のお姿は他と異なり、桑の枝を持っています。
他の童子形妙見菩薩
中世以前の妙見菩薩は、吉祥天や密教系の諸天のお姿をしています。 三井曼荼羅図link
髪の毛が長いだけが女性の特徴ではありません。たとえば日本でも根来の行人や占い師は長髪でした。
髪を長く伸ばしている男は、特殊な能力を持った人の意味もありました。
無関係と思いますが、牛飼い童(うしかいわらわ)も成人でありながら長髪です。
道教の神々は、長髪が多く見られます。
日本では子供と老人は神に近いと考えられていました。
私は童子形妙見菩薩は玄武(中国では真武)がそのまま入ったのではなく、子供の姿として日本的展開をしたとの立場でいます。
聖徳太子像も少年の姿が多く見られます。
話は変わりますが、死後老人が子供になってあの世に行く図があります。人は若返って浄土に向かうと思われていたようです。
中世の童子形(津田徹英著)が参考になります。
常陸国(茨城県)の三蚕神社
妙見菩薩と養蚕神の習合
秩父に祀られるより以前に祀られている高崎市の妙見寺お姿をはじめ、他の神社仏閣では桑を持っていません。
秩父は養蚕で栄えました。明治以降は秩父銘仙も知られるようになりました。秩父の祭りは養蚕と関連しています。
秩父の妙見様は女神である養蚕神と習合し、江戸期に女性の神様とする考えが生まれたと思っています。
また、秩父夜祭りは、秩父神社の女の神様と武甲山の男の神様が、逢い引きする日と言う人がいますが、単なる俗信だと思います。
おそらく諏訪信仰が秩父に早くから入っており、諏訪湖の御神渡り(おみわたり)伝承が、秩父で武甲山と秩父神社に変化したのではないでしょうか。
諏訪信仰に詳しい友人も同じ様な意見でした。秩父神社の関係者も同じ様な意見の方もいます。