大黒天
大黒天は七福神に含まれることもあり、よくしられています。

まだにこやかなお顔になる以前の大黒天像です。
恵比須大黒として祀られることが多い神様です。

三面大黒天(摩訶迦羅天)
しかし、本来の大黒天は恐ろしい神でした。
Wikipediaの大黒天の説明に「胎蔵界曼荼羅での大黒天は、シヴァとその聖なる白牛ナンディン(白い水牛が中国や日本で認識されずに、山羊や兎の姿で誤描写)を降伏させている立像で身の丈は通常は五尺である。」とあります。
日本では大国主と習合し、福神と変わっていきました。
この三面大黒天(摩訶迦羅天)は天部の神で、三面六臂の憤怒相、象の皮を背後に広げ、羊と人間を両手でぶら下げ、剣を横に持ったお姿です。

特に明治以降は、赤痢などの疫病流行のおり、摩多利神(忿怒相の三面大黒天) としても信仰されました。
あえて悪神である神を祀り、病気平癒を祈ったのです。
摩多利神ブログlink
民俗学伝承ひろいあげ辞典の資料に、三面暴悪の大黒天を中心に周囲に八天女を配した曼荼羅、この八天女を七母女天(摩怛利神)・梵天女とし、摩多羅神を摩怛利神として供養する摩怛利神法が修法された。とあります。

川村湊氏の「牛頭天王と消された異神たち 蘇民将来伝説」によれば、寛永寺の真如院覚深の「摩多羅神考」により、摩多羅神と摩多利神は同じ行疫神とされたことが書かれています。安楽律騒動で天台宗が否定した摩多羅神(またらじん)を再度正当化するために、仏教の正当な神である七母女天(摩多利神)と同じとされたようです。
三面大黒天の廻りに女神が描かれています。
上の図は安楽律騒動以降に使用された図のように思います。
摩多羅神と摩多利神は名前が似ているだけで、全く異なる神です。たとえばインドの神である大黒天と日本の大国主命が同じ神とされたように。
庚申信仰では、青面金剛に似た像を本尊としています。
三宝荒神とも同じようなお姿をしています。
日本独特の信仰です。
青面金剛の姿を見たチベットの方が、「マハーカーラだ ! 」と言ったそうです。
比べてみると、確かによく似ています。
マハーとは「大 」、カーラとは「黒 暗黒」の意味です。
青面金剛


手に髪の毛を捕まれた人間が描かれています。

三面大黒天(摩訶迦羅天)の恐ろしい姿と、重なることが理解できます。

庚申塔
青梅市の宗建寺 ブログlink

寄居町の少林寺 ブログlink

本庄市児玉町の成就院 ブログlink

確かにマハーカーラ、庚申、青面金剛、三宝荒神はよく似ています。
三面大黒天が福の神となり、七福神の中の大事な神として参拝する方が大勢います。
武蔵野七福神では、入間市の長泉寺(きのえねさま)に祀られています。
甲子大黒天 長泉寺 ブログlink 武蔵野七福神link