2017年02月

「鬼門の将軍」高田崇史著 平将門公は怨霊ではなかった!

以前読んだ高田崇史(たかだたかふみ)氏の「QED~ventus~御霊将門」は、謎解きも将門公への考察も表面的で、私にとっては満足できる作品ではありませんでした。
また、他の著者の「陰陽師」や「帝都物語」などの、おどろおどろしい作品にはなじめないモノがありました。
 

平将門首塚と成田山新勝寺

 
この作品は推理小説として読むには面白みはありませんが、将門公への長年の疑問がかなり解けた気がします。
成田山だけでなく、古い歴史の寺社などの歴史などをひもとくと、どうしてもおかしいと思うことがありました。
たとえば、平将門公の子孫(先祖の平良文が甥である将門公の養子となった)・千葉常胤が文治4年に成田山本堂を再建しているのですから。
 
内容を書くと興がそがれると思いますので書きません。
あえて言えば、明治政府の朝敵「平将門」とする思いが、結果的に伝説の元になったのだと感じました。
 
この本は天慶の乱を大まかに知るにも役に立ちます。
男気のある侠客の親分的存在であった将門公に、多くの人がひかれて集まってきたのでしょう。
 
今回は脇役として少しだけ出てくるのが、他の高田氏作品のあの漢方薬店店員さんです。まあ読んだことの無い人には、意味が分からないでしょうが。
 
 
なお、この作品には、私の属する宗派(真言宗智山派)寺院、千葉の「成田山新勝寺」、茨城の平将門公胴塚「延命院」、東京の「等々力不動満願寺」が出てきます。
 

那須政隆猊下の言葉 「仏の国は!」

仏の国

今から40年ほど前になりますが、総本山智積院の大書院において、若い僧侶にお話をされました。

「仏の国はどこにある。そこにある。そこにある。そこにある。」

と、向かって左側の壁に人差し指で差し、次に私たちに向かって。最後に庭園を指しました。

 

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40年ほど前は模写がありませんでした。

20172229623.jpg名勝庭園

他の言葉は忘れましたが、この言葉だけは今でも思い出します。

 

そのとき浮かんだ言葉が、弘法大師の著・声字実相義の「五大に皆響きあり、十界に言語を具す。六塵悉く文字なり。法身はこれ実相なり」(ごだいにみなひびきあり、じゅっかいにげんごをくす、ろくじんことごとくもんじなり、ほっしんはこれじっそうなり)でした。

簡単すぎる説明ですが、

五大とは、地水火風空。十界とは仏界から地獄までの世界(あらゆる世界)。

六塵とは眼耳鼻舌身意の対象である色声味触法。法身はこれ実相なりとは、仏様はあらゆる世界にいますよ。

となるかもしれません。

 

また、声字実相義には、仏の中に世界があり、私たちの一毛の中にも仏の世界があると書かれています。マクロからミクロまで、仏様の世界なのです。

御大師様は山野を駆け巡り、自然の中で仏の世界を実感したのに違いありません。

私たちも時々は心を落ち着け、自分を見直す場を作る必要があります。

 

「仏の国は何処にある。そこにある。そこにある。そこにある。」

仏の国は遠く離れた所で無く、私たちの身近も含まれる世界だったのです。

私たちに向かって指さしたことは、私たちも仏であることを知りなさいといわれたのだと思います。

 

また曼荼羅として考えても良いと思います。

 

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金剛界曼荼羅

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胎蔵界曼荼羅

 あらゆる世界を仏様の世界として描かれています。

この中の仏様の廻りに、沢山の仏様が、沢山の仏様の廻りに沢山の仏様が描かれているのです。

これを二次元の図から三次元の図にすると、この宇宙になります。

宇宙から銀河系に、銀河系から太陽系に、太陽系から地球に、地球から日本に、日本から私たちに、私たちからご先祖や未来の子孫、友人、他人、天地自然とあらゆる世界が描かれています。

 

あらゆる世界が曼荼羅の中に調和されているのが、曼荼羅です。

この世、天国、浄土、地獄など、全てが描かれているのです。

私たちは来世に対して囚われては行けないとも言われているように思います。

 

 

しかし、来世を信ずる信じないにかかわらず、多くの方々と社会を営み、色々な方の死を身近にしています。

どのように考えれば良いのでしょう。即身成仏だけでは通夜葬儀の折、檀家さん向けのお話は出来ません。密厳浄土はなじみがありません。

 

私は、来世があると思い込むことにしています。

檀家さんに対して「天国であるか浄土であるか、間違いなく良い世界に行きます。」とお話ししています。

「きっとご主人、友人、両親、皆同じ世界にいるのです。」とお話ししています。

 

浄土宗、浄土真宗だけが極楽浄土に行けると思っている方もいるでしょう。あるいは自分の信仰する宗教、会だけが天国極楽に行けると思っている人もいます。

 

お釈迦様にあるおばあさんが問われました。おそらく初めて会った方でしょう。

「お釈迦様、私は天国に行けますか。」

お釈迦様は、

「あなたは天国に行けますよ。」

と説かれています。人によりその人に合わせて優しい言葉、思いやりを持って話されているのです。

 

信仰の深さだけが、成仏、来世を決定づけるわけではありません。まずは人として、どのような人なのかが一番大事でしょう。

熱心すぎると日本で言えば、オウム真理教のようになりかねません。

 

「安心論争」と言う那須猊下(当時は先生)と渡辺照宏先生の面白い議論があります。  真言宗の安心(あんじん) リンク

今の私にとって、この論争は那須猊下の説がためになりました。ただし、渡辺先生の説を否定しているわけではありません。

興味のある方は、読んでください。

 

猊下が大学の教授であった時の授業、たしか「真言学概論」は、ただただ授業の言葉をノートに書き写すだけでした。何やなにやら難しくて分からなかったことを思い出します。

大書院でのお言葉に「授業でもっと分かりやすく教えてくれれば良かったのに」と、つい思ってしまいました。

授業は後々自分で考えなくてはならない場だったのですね。

 

那須政隆猊下の書

 

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弘法大師のお言葉

地獄は何れの処にか在る いずれかの自心の中に観ん   (秘密曼荼羅十住心論)

 

天神社の御祈願

先日、天神社で御祈願を宮司・西澤形一師が行いました。

 

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小さなお社ですが、時々御祈願の依頼があります。

気軽に例大祭に来られて、他の方々と一緒にお参りするだけの方もいます。

 

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本日は信者さんと母娘二組の依頼です。

 

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霊能者の方に依頼した時、数十万円が必要と言われた方がいますが、ここでは心配ありません。きわめて良心的です。

先日も宮司と相談者の電話を聞いていましたが、私(住職)のご法事のお布施より少ない御祈願料でした。

※西澤形一宮司が、令和2年1月17日に帰幽(死去)致しました。長年のご厚情に対し、感謝申し上げます。新たに大谷由紀宮司、佐藤宏禰冝が就任致しました。

 

 

それよりも滝行だけ勧めることもあります。九頭龍滝と龍神の滝は都下・檜原村の山中ですから時間はかかりますが、何度も来られ常連さんになる方が沢山います。

これなら5000円+お賽銭+交通費+お風呂+食事代です。

 

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真冬でも喜んで挑戦している方々がいます。

 

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人に頼るだけでなく、自分の中にある本来の力をここで取り戻す事が出来ます。

 

追記 西澤形一師は令和2年1月17日、帰幽(死去)致しました。滝行は観音寺さんが引き継いています。
 

 

気軽に相談してください。

円泉寺 天神社

滝行と御祈願

〒357-0014 埼玉県飯能市平松376

 

リンク     天神社     滝行

 

お風呂とお食事

 

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数馬の湯

 

山城と浅間坂は、宿泊・合宿も出来ます。滝行と組み合わせて利用されてはいかがでしょうか。

 

大悲願寺 あきる野市横沢

以前も観音堂ご開帳の折に、お参りしたことがあります。
真言宗豊山派の名刹です。
 
 
 
 
雪が舞ってますね。
 
山門の天井画は、藤原善信の作です。
 
 
 
 
格式を感じます。
 
 
 
 
伊達政宗の弟がここの住職の弟子になっており、政宗も訪れていたそうです。
ここの白萩が政宗の依頼により、仙台にに運ばれました。
仙台で萩といえば、伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)を思い出しますね。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
観音堂に祀られている阿弥陀如来像が重要文化財になっています。
でも知っている阿弥陀如来のお姿とは少し異なります。伝阿弥陀如来となっています。
開帳は例年4月21日は11時と15時、4月22日は13時と15時の各2回です
が、早めに行って下さい。
以前行った時は、市の施設やブログにより時間の情報が異なっていました。お寺は忙しいので、あきる野市に問い合わせた方が良いと思います。
 
駐車場が満杯になります。電車で訪れるのが良いと思います。
 
 
 
 
 
 
この近在には格式ある寺が沢山あります。
今日はいませんが、歩いて回る人を沢山見かけます。
 

阿伎留神社 あきる野市五日市

平将門公関連の寺の住職としては、藤原秀郷が将門公討伐の戦勝祈願をした神社では、行くべきで無いと言われるのでしょうが、あまり堅いこと抜きでお願いします。
 
 
 
ここでも雪がちらついていて、寒いのなんのって、以前お参りに行ったときは、人が居ましたが、今日は我々以外に誰も居ませんでした。
 
ここの宮司は、武蔵国造家につながるそうですから、とてつもなく古い家柄ですね。
息子の大学の同級生に出雲系神社の社家の末裔がいましたが、なんと出雲風土記に先祖の名があるそうです。
神社の宮司には、とんでもない長い歴史を誇る家系が各地にありますね。
そのなかには、古事記、日本書紀にない歴史が伝えられているところもあります。
 
歴史ある神社ですが、道も狭くお参りするのには分かりづらい場所にあります。
しかし、多くの樹木に囲まれ、とても気持ちの良い神社でした。
 
 
 
拝殿
 
本殿
 
占方神社は際神が、櫛真智神とありました。全く知らない神様です。
占いの神様なのでしょう。
 
 
 
 
天満宮です。以前は旗など無かったように思います。受験前にお参りが多いのでしょう。
 
 
 
それ以外に多くの小さなお社がありました。まいまい井戸もあるようです。
 

平将門の浮世絵

最近手に入れた浮世絵です。本物か、後世の復刻版かは不明です。

円泉寺の妙見堂に祀られていた妙見菩薩は、平将門公の念持仏と伝えられています。

残念ながら、現在の妙見様は、近年祀られた御尊像です。

妙見菩薩・平将門資料集 リンク

将門公にちなみ、購入した作品です。

 

歌川豊国の役者絵 「平親王 将門」(平将門)
豊国には、他にも同じ様な構図の浮世絵があります。
文久二年(1862)、中村芝翫(しかん)演ずる歌舞伎の浮世絵で「御好見立三福対」の一枚です。
 
下の図の役者も中村芝翫かもしれません。多分四代目と思います。
 

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「江戸の花 名勝会八番組  神田」

「江戸の花 名勝会」は東都の名所八カ所を選んで八枚一組とした作品群です。沢山の作者による江戸を紹介する錦絵のようです。

この一枚は、三代歌川豊国・歌川貞秀・歌川芳虎による一枚です。

 

豊国が尾上菊五郎の滝夜叉姫。

芳虎が戯画で将門公の首が飛んで、岩を噛んだ所が神田。

貞秀が神田明神の風景を描いています。

 

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月岡芳年の浮世絵 「武者無類 相模次郎将門」

相模次郎将門とありますが、本来は相馬小次郎平将門です。

武者無類は武者震いから来ています。
 
大変迫力と見事な構図の浮世絵ですが、将門公はこの後に死を迎えることになります。
右上に鏑矢が描かれています。
この矢に驚いた愛馬が立ちすくみ、流れ矢に当たり討ち取られました。
 
いたみがありますが、四点の中で私が一番気に入っている作品です。
 

 

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月岡芳年の浮世絵 「大日本名将鏡 平将門」
手前が平貞盛、奥があと少しで最期となる平将門公です。

 

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芳年は幕末から明治に掛けての代表的な浮世絵師でした。「最後の浮世絵師」と言われています。

 

3代目歌川国貞(香朝楼)の浮世絵「前太平記擬ノ玉殿」

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「前太平記擬ノ玉殿(ぜんたいへいきまがいのぎょくでん )」明治234月市村座にて初演 
平親王将門(市川左団次) 桔梗ノ前(沢村源之助) 千種姫(尾上栄之助) 俵藤太秀郷(尾上菊五郎) 權ノ頭興世(中村芝翫) 
 
豊原国周の同名の作品があります。早稲田大学演劇博物館 link
 
 
豊原国周の役者絵  平将門島広山討死の場
 
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将門公の背後に影武者が描かれています。影武者は六人いたと伝えられています。
この絵には二人だけですね。
 
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前太平記擬ノ玉殿」の最期の場面なのでしょう。
平親王将門(市川左団次)  千種姫(尾上栄之助)  俵藤太秀郷(尾上菊五郎)  平貞盛(市川権十郎)
 
千種姫は知らない名前です。役者絵を集めて初めて知りました。
歌舞伎の世界では、知られているのでしょう。
 
明治23年版
浮世絵は江戸期の物と明治以降は開化絵とばかり思っていました。維新後の歌舞伎の衰退が、役者絵のおかげで復活したようです。
すぐには文化は変わらないものですね。

 

将門軍記 上下巻  著者・竹内栄久 編[他]  出版者・小森宗次郎 
    和本の表紙です。
    竹内栄久は三代目歌川豊国でした。
    明治20年1月31日の発行です。
 
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上巻:「将門と桔梗」 縦横約16.5-11.3センチ
 
 
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下巻:「将門と貞世」
 
詳細は、他のブログを参照して下さい。ブログlink
 
番外  滝夜叉姫と平良門
三代歌川豊国  今様押絵鑑  七綾太夫(瀧夜叉姫) 
   滝夜叉姫は平将門の娘とされる妖術使い。
 
滝夜叉姫
 
 
三代歌川豊国  今様押絵鑑  平太郎良門
   良門は平将門の長男と言われる伝説上の武将。
 
平良門
 
 「江戸の花 名勝会 よ 一番組 中村芝翫/内神田橋芝崎の里/内神田」
三代歌川豊国他
 
 

「江戸の花 名勝会八番組  神田」に比べると残念ながら汚れが目立ちます。

小学生の頃、妖術比べの絵が子供雑誌に掲載されていたのを思い出します。誰かは忘れていましたが、ガマガエルとなった姿は不気味でした。

近所の子とマネをして遊んだのを思い出します。

 

絵銭2 成田山 金毘羅大権現 弁天 天神 役小角

絵銭収集は終わりにする予定でした。

成田山の絵銭を見つけ、他に当寺に祀られている仏様などもありましたので、まとめて同じ所から求めました。

 

成田山不動明王

当寺の御本尊様もお不動様です。

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金毘羅大権現

妙見堂にお祀りしています。

同じ図柄ですが、程度に違いがあります。

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弁財天

御本堂、阿弥陀堂と銭洗い弁天がまつられています。

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天神(菅原道真)

天神社が境内にあります。

表が梅と松に天神様の図柄です。当寺の山号は梅松山ですので、気に入っています。

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役小角

祀られてはいませんが、あちこちでご縁をいただいております。

表には行者の文字があり、裏面には前鬼と後鬼の図柄となっています。

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絵銭1,2共にスキャナーでの画像です。

性能の良いカメラであれば、もっと鮮明になったのですが、大きさがまちまちの上、ボケボケのが多く仕えませんでした・

 

 

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