真言宗智山派 円泉寺 埼玉県飯能市|永代供養塔・墓地・ペット供養塔・阿弥陀堂・銭洗い弁天様・武蔵野七福神札所

東文研 第51回オープンレクチャー 「四条河原遊楽図屏風」「穢土としての身体」

国立博物館の北西角にある東京文化財研究所のオープンレクチャーに行ってきました。
11月2、3の二日間ですが、2日(木)のみの参加です。東文研link


①海を渡った日本絵画 ―ライプツィヒ民族学博物館所蔵「四条河原遊楽図屏風」
  江村 知子 先生

日本にある他の三点の比較でした。
四点ともよく似た構図でしたが、よく見ると細かい部分でそれぞれ異なる部分があり、特に着ている着物の文様が全て異なっていました。
どれが大元となったのか、あるいは他の作品を模した物か、興味ある内容でした。
さらに江戸時代に禁じられる以前の女歌舞伎、女の語る人形浄瑠璃、若衆による能などが、どのように演じられていたのか、とても興味ある内容でした。

②穢土としての身体 ―日本中世絵画に描かれた病と死体
   山本 聡美 先生

差別表現があるかもしれません。ご了解下さい。

 「病草紙(やまいのそうし)」   Wikipedia link
肥満の女、二形(ふたなり・両性器を持つ)の男など、奇形、不具を含む病が描かれています。なお、二形はあり得ないそうです。
何かの印刷物で見たことがあるのは、肥満の女だけだったと思います。

仏教における因果応報が説かれています。
法華経(比喩品)にこの経をそしると病となる。罪の報いであると書かれてあるようです。他にもあるのでしょう。
これはおかしな話です。
その人を見て笑っている人も描かれています。しかし、笑っている人も、笑いながらも不安を感じているのでしょうと話されていました。

今でも自分の信仰が正しく、他は皆地獄に落ちる、病気になったのは信仰が悪い、天国、極楽に行けるのは自分たちの宗教だけだと言う人がいます。
お釈迦様は、そんなことは一言も言っていません。
人として、如何に良き人として生きるかだと思います。

「正法念処経」
病草紙の文は正法念処経を多く引用しているようです。病草紙とともに六道絵の元となっているそうです。

「九相図鑑」 九相図 Wikipedia 
死から腐って骨となるまでを描いた図です。九相図とは本物の死体の代わりに用いられた図です。
「九相図画像」で検索すると沢山出てきます。ハッキリ言って、この図は不気味です。無理してクリックしないで下さい。(※まれに精神が不安定になる人がいると書かいている方もいます) link

このような図を観相することにより、自他の肉体への執着を滅却するのだそうです。さらにそこから仏の世界(浄土)を欣求することだと思います。
特に天台宗に大きな影響を与えたようです。
源信の「往生要集」に九相観を採用し、肉体の不浄を説いています。

シルクロードの国々で用いられたことが明らかになっているようです。そこから唐に渡り、日本にも将来されました。

空海の性霊集(しょうりょうしゅう)に「九相詩」があり、お大師様が受容したとありました。しかしこの詩は偽作だそうです。
真言宗の住職としては、偽作で良かったと思いました。弘法大師の世界観とは、全く異なった世界だからです。

興味のある方は先生の「九相図をよむ 朽ちていく死体の美術史(角川選書・芸術選奨受賞)」を読まれると良いでしょう。
キリスト教の教会にも死の造形があるようです。
ここに掲載されている図も、かなりグロテスクです。

イメージ 2


両先生共に大学の同級生であり、大学院でも一緒だったそうです。
関係ないことですが、お二人ともとても美人でした。

2024年4月
« 3月    
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930