真言宗智山派 円泉寺 埼玉県飯能市|永代供養塔・墓地・ペット供養塔・阿弥陀堂・銭洗い弁天様・武蔵野七福神札所

長野県山梨県の戒名は院号居士ばかり 九州の戒名は信士よりも禅定門が上位

時折トラブルの原因になるのが、戒名の地域性です。

 

今から50年以上前に、山梨県の副住職さんが話していた話しです。
「檀家は居士・大姉か院号居士・大姉ばかりで、御布施も5万円しか変わらないので、院号居士ばかりになってしまう。」
と話していました。今では院号居士ばかりになっていると思います。
新潟県から引き墓してきた家も、院号居士以外は見たことがないと話していました。

当寺の墓地を契約し、亡くなられた後に、山梨県、長野県のご実家やご親戚からクレームがありました。
「信士など見たことがない」「院号居士以外はダメ」

江戸時代に武士階級より上の戒名を付ける家が出てきました。
士農工商の身分制度を守るためと、倹約を勧めるために、上位の戒名の使用を使わないようお触れが出ました。
しかし、幕府の直轄地などの目の届く藩以外は、統制が難しかったようです。

 

 

信士の戒名に反対された檀家さんの一件は、戒名を「居士」とし、霊園に墓地を建立しました。四十九日忌の納骨開眼には、奧さんの一族しか参列しませんでした。
もう一件は「居士」とし、当寺の墓地を使用しています。
しかし、両奧さんのご実家は信士・信女です。

檀家さんだった家ですが、ご主人が急に長野県のご実家にて亡くなりました。
当寺に連絡があったのは、通夜葬儀の手配が終わってからです。それもご実家の菩提寺か執り行うことにしてありました。
私としては行けると話したのですが、ご実家は一切言うことを聞いてもらえませんでした。
院号居士ばかりの地域ですから、御住職に「俗名」で葬儀を依頼しましたが、白木の位牌には院号居士となっていました。

市内の奧さんは有頂天です。奧さんのご実家は信士で、地元の親戚に院号居士は一件もありません。
当時当寺では院号居士は数件ありましたが、どなたも納得する家ばかりでした。
奧さんのご実家や親戚が「信士で良いでしょう」と言っても聞きません。

結局ご実家の近くのお寺に墓を求めました。
「○○寺は院号居士で、御布施はお気持ちで良いと言われました」と電話があり、当寺墓地はキャンセルとなりました。
しかし、当寺檀家の従兄弟が来られ、納骨一週間後に御寄付を依頼されたそうです。要するに「御布施が足らない」でしょう。
一年後、御本堂新築、境内整備に数百万円の御寄付依頼があったそうです。


九州の戒名は 信士よりも禅定門が上位

引き墓をして九州に帰った奧さんから電話がありました。
「信士から禅定門に上げていただきました」
当寺檀家だった時は、きっと不満だったのでしょう。

江戸時代当寺では禅定門・禅定尼が殆どです。現在は、ほとんど無くなりました。

古い戒名ですが、調べると各地に「院殿大禅定門」があります。戦国武将などにもありますので、時代により変遷があるのでしょう。


静岡県の戒名 上座

先ほど書いた幕府のお触れに対して、巧みに対応した寺がありました。
現在でも静岡県では、「上座・尼上座」が使用されています。今では信士と居士との中間のようです。
しかし、埼玉県内でわずかに使用された「上座」の位は、地域を代表する格式の家がほとんどです。

上座戒名リンク

多く使用された地域では、そのまま定着しました。院号居士と同等か、更に上位だったのだと思います。
少ないところでは意味が忘れらたのだと思います。

ある霊園の方の父親が「上座」でした。かなり不満を持っていたようです。静岡から埼玉に引き墓していました。
お母さんの葬儀の時、上座の戒名の説明をすると、静岡のご親戚も大喜びでした。
「菩提寺住職に、この話をします。」と言っていました。ご住職に聞いても知らなかったそうです。
この戒名に関する私の説明は、ほぼ間違いではないと思っています。

この時のメモを葬儀社がコピーして、通夜には列席者全員に配られていました。
このコピーが、現在の戒名説明書になっています。

 

 

見たことのない戒名の位

ある檀家さんのご親戚から、スマホで撮影した墓誌の画像を見せていただきました。
その方の墓がある共同墓地です。知らない家の墓で、他には同じような戒名はないそうです。

文字は不都合なことがあるといけませんので、○○△△□□とします。御夫婦の戒名です。
漢字が六文字で、□□が戒名の位のようです。上四文字は、ごく普通の戒名です。
戦後の昭和二十年代でした。
その戒名の後には、普通に信士信女です。
調べて分かったら連絡することに致しましたが、戒名の虎の巻やネットで調べても、一切出てきませんでした。
おそらく新興宗教の戒名でしょうと話すしかありませんでした。


テレビドラマ用依頼戒名は院号居士ばかり

近頃はテレビ局から依頼される戒名が減りました。
しかし、ADから依頼されるのは、院号居士大姉ばかりです。

身寄りのいない、お金も持っていない女性を同じくお金のない仲間が、お葬式をしてあげる場面がありました。
頼まれたのが、院号大姉です。
「東京なら信女でしょう?」と言わざるをえませんでした。
世間を分かっていて制作するのでしょうか。原作者がこのシーンを見たら、唖然とするでしょうね。

8年前のテレビ出演リンク

 

 

戒名も依頼されました。

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